「サロン経営は儲からない」といわれることがありますが、実際にはどうなのでしょうか。
サロン経営は個人で開業しやすく、ジャンルによってはマンションの一室でも始められますが、準備が不足すると失敗しやすいという側面があります。
本記事では、店舗経営を検討している投資家の方や、現場経験を活かして独立したいと考えている技術者の方に向け、サロン経営が儲からないと言われる理由や、業界別の収益構造、さらには成功の鍵まで解説していきます。
サロン経営のリアルな仕組みを理解し、開業後に安定した利益を作るための参考にしてみてください。
サロン経営は本当に儲からないのか?

結論から言うと、サロン経営は決して儲からないビジネスではありません。
適切な準備と管理を行えば、サロン経営は十分に黒字化が可能であり、安定して利益を積み上げることができます。
売上構造がわかりやすく、改善ポイントも明確に見える業態であるため、事業運営の透明性が高い点も大きな魅力です。
しかし、他業種と比べて収益構造のバランスが非常にシビアで、少しのミスがすぐ赤字につながる傾向にあります。
華やかなイメージが先行し、「好きなことで独立できる」と軽く考えてしまうと、現実とのギャップに苦しむケースが多く見られるでしょう。
サロン経営が儲からないと言われる理由

先述したように、サロン経営は決して儲からないビジネスというわけではありません。
しかし、他業種にはない特有の構造や課題があるため、経営の難易度が高いのも事実です。
以下では、サロン経営が儲からないと言われる3つの理由を解説していきます。
スタッフの人数と稼働率が売上を左右する
サロン経営が儲からないと言われることには、サロンが典型的な労働集約型ビジネスであることが関係しています。
施術者1人が担当できるお客様の数には限度があるため、売上はスタッフの人数と稼働率に大きく依存するのです。
一人当たりの生産性を上げるには、高単価メニューの導入や技術向上が必要ですが、どちらも短期間で成果が出るわけではなく、短期で利益を伸ばすのは難しい傾向にあります。
固定費が高い
サロンは、人件費や立地に左右される家賃に加え、光熱費や商材費などの固定費が高いという特徴があります。
予約の有無にかかわらず支払う必要があるため、集客が不安定な時期はそれだけで利益が圧迫されてしまうでしょう。
そのため、開業前の見積もりが甘いと、オープン初月から赤字に陥ってしまい、「儲からない」仕組みを作ってしまうケースも珍しくありません。
サロン経営は技術力だけではなく、数字を正確に把握し、課題を改善する視点が重要です。
QSCが標準化できていない
サロン経営では、「QSC(品質・接客・清潔)」の標準化が重要です。
QSCが標準化されていないと、誰が担当しても満足させる「仕組み」がないため、一部の人気スタッフに売上が依存し、組織としての成長が止まってしまいます。
また、清掃や備品管理などの基準が曖昧だと店舗の劣化や不衛生さが目立ち、高単価を維持できず、儲からないサロンとなってしまうでしょう。
QSCの管理体制を整え、再来率の高い仕組みをつくれるかどうかが、サロン経営の成功を大きく左右します。
サロンの業態によって異なる収益構造

サロン経営を成功させるには、まず業態ごとの収益構造の違いを理解することが不可欠です。
業態が変われば、必要な設備・人材・戦略・投資額も大きく変わってきます。
以下では代表的な5つのサロン業態を挙げ、それぞれの収益構造を解説していきます。
美容室
美容室は、シャンプー台や椅子などの設備投資が高額になりやすく、初期費用の負担が大きくなりやすい点には注意が必要です。
ただし、一度顧客を獲得すれば数ヶ月単位で定期的に来店が見込めるため、リピート率が安定しやすい構造を持っています。
また、カラーやパーマなどの追加メニューで客単価を引き上げやすいことも特徴でしょう。
一方で、施術時間が長いため一人あたりの生産性に限界があり、多くのアシスタントを抱えると人件費が利益を圧迫しやすいのが特徴といえます。
技術者の育成には時間がかかり、人材の定着が難しい場合があるため、長期的には教育体制の整備が収益を左右するでしょう。
ネイルサロン
ネイルサロンは、他のサロンと比較して広いスペースや高額な設備を必要としないため、家賃や初期投資を低く抑えて効率的に運営しやすいメリットがあります。
しかし、施術時間が長い割には客単価を上げにくいため、高い技術力で施術スピードを上げたり、指名料などの付加価値を付けたりといった工夫が必要です。
デザイン力や技術力が売上に直結する業態でもあるため、スタッフ間のスキル差をなくす教育が重要となります。
エステサロン
エステサロンは回数券やサブスクを導入しやすく、物販との相性も良い業態です。
1回あたりの客単価が高く、まとまった現金を先に確保できるため、収益の安定化が比較的図りやすいのも特徴的です。
しかし、専門知識が必要で、技術研修や衛生管理に一定の投資が求められます。
また、高価な美容機器の維持費や高い広告宣伝費が必要となるため、固定費を物販や継続契約でいかにカバーできるかが勝負になります。
リラクゼーションサロン
リラクゼーションサロンは、セラピストの数が売上に直結しやすい業態です。
そのため、多く施術を提供するには人員確保が必須で、人件費管理や稼働率の調整が経営の鍵となります。
また、参入障壁が比較的低いため価格競争が激しく、施術単価を上げにくいことが収益性を下げる大きな要因です。
集客コストをかけて新規客を回し続ける「自転車操業」に陥りやすく、お客様の定着が鍵となるため、安定して利益を出すのが難しい業態といえるでしょう。
まつ毛サロン・眉毛サロン
まつ毛サロン・眉毛サロンは小規模でも開業しやすく、高単価メニューを設定しやすいため、投資回収のスピードが速い点が魅力です。
ただし、技術差が集客に顕著に現れるため、技術基準の統一と品質管理が極めて重要となります。
また、参入が容易なため価格競争が起きやすく、新規客を安い単価で呼び込み続けると、スタッフが疲弊するばかりで利益が残らない構造に陥りがちと言われています。
サロン開業前に必ず準備したい項目

黒字化しているサロンに共通しているのは、開業前の準備がとても丁寧であることです。
反対に、開業から短期間で撤退したサロンほど準備不足が目立ちます。
以下では、サロン開業前に必ず準備したい項目を4つに分けて解説していきます。
資格・スキル
まずは技術力・衛生管理・接客力といった基礎スキルを備えたスタッフ体制を整えることが重要です。
単に施術ができるだけでなく、お客様の悩みを解決して信頼を得るためのカウンセリングや接客スキルも、リピート率を左右する重要な武器となります。
競合店に埋もれないためには、開業前に最新のトレンドや経営知識を確保しておくことが必要でしょう。
場所選び
サロン経営においては、立地選びも売上を大きく左右します。
駅からの距離・駐車場の有無・競合サロンの状況・賃料の相場などを、ターゲットとするお客様の生活背景をふまえて複合的に判断する必要があるでしょう。
家賃は売上の10〜15%に収まるのが目安とされており、立地にこだわりすぎて高額な物件を選ぶと固定費負担が経営を圧迫する最大の要因となるため注意が必要です。
資金調達
資金調達については、開業にかかる初期費用だけを見て計画すると失敗につながります。
サロンの運転資金は少なくとも集客が安定しない初期の3ヶ月分、できれば半年以上を確保するのが理想です。
融資や補助金を活用すれば、資金に余裕を持たせることができ、オープン初期の赤字にも耐えられます。
また、内装や設備にこだわりすぎると資金が不足する恐れがあるため、優先順位を明確にして投資対効果の高いものから予算を配分することも重要です。
経営管理の仕組みづくり
オープン後に慌てないためにも、予約数・来店周期・材料費率・客単価・QSC評価・スタッフ別売上などを可視化し、分析できる仕組みを事前に整えておくことが大切です。
課題が明確になることで、改善のスピードが圧倒的に速くなるだけでなく、運用ルールの整備にもつながります。
特に、QSC(質・接客・清潔感)の基準を明確にし、いつ誰が対応しても同じ感動を与えられるマニュアルを作ることは、儲かる仕組みづくりへの近道です。
さらに、SNS運用やリピートを促す仕組みなど、集客と経営管理の体制を整えておくことは、安定した経営に欠かせません。
サロン経営を成功に導くためのポイント

「儲からない」状態に陥るのを避け、サロン経営で継続的に利益を出すためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 再来率を徹底的に高める
- スタッフ教育と業務フローの整備
- データに基づく経営判断
サロン経営において、新規顧客の集客には広告費や人手などのコストがかかるため、費用対効果の面でも、既存客を維持しリピートにつなげる方が安定した経営につながります。
また、スタッフの技術差は売上差に直結し、接客品質のバラつきはクレームの原因にもなるため、スタッフ教育と業務フローの整備も必要不可欠です。
感覚ではなく明確なデータに基づいて判断することも、サロン経営を成功に導くために重要なポイントとなるでしょう。
サロン経営は儲からない?難しいと言われる理由|まとめ
サロン経営は決して「儲からない」ビジネスではなく、ポイントを抑えてしっかり準備することで、成功に導くことができます。
立地選びや数字管理・品質管理・スタッフ育成を丁寧に行えば、利益を安定して生み出すことは十分に可能です。
サロンの経営・開業をめざす方は、本記事を参考にしながら、数字に基づいた経営とQSCの徹底を意識して取り組んでください。
継続的な改善と正しい戦略の積み重ねが、サロン経営を成功へと導くでしょう。

