飲食店経営をしていると、人手不足のため店が回らない状況で困っている経営者の方も少なくありません。
そこで、この記事では、飲食店で人手不足が起こる原因8つと、人手不足を解消する解決策6つをご紹介していきます。
あわせて、AIツールを活用して飲食店の人手不足を解消する方法もまとめましたので、人手不足に悩む飲食店経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
店が回らない!飲食店で人手不足が起こる原因8つ
飲食業界は他の業種と比べて離職率が高く、人手不足が起こりやすい業界です。
飲食店における「人手不足のため店が回らない」という問題を解消するためにも、まずは「なぜ飲食店で人手不足が起こるのか?」について、原因を8つに分けてご紹介していきます。
人手不足の原因①業務が多い
飲食店で人手不足が起こる原因の1つが「業務が多い」ことです。
飲食店は接客や調理、電話対応や予約対応からクレーム対応など元々の業務量が多いだけでなく、人手不足のため従業員一人が担当する業務量も多いです。
多忙な毎日で体力的・精神的にきつくなり、退職する従業員も少なくありません。
人手不足の原因②給料が低い
給料の低さも、飲食店で人手不足が起こる原因です。
毎日朝から晩までハードなスケジュールをこなす中で、給料が低いとモチベーションを維持するのも難しくなってしまいます。
労働に見合った報酬を支払えないと、よほどの理由が無い限り、店で働く人は増えず減っていく一方でしょう。
人手不足の原因③休憩時間が不規則
飲食店では、店が忙しい時は休憩時間でも従業員に仕事に戻るようお願いするケースも珍しくありません。
法律で休憩時間は定められているので、基本的に店が落ち着いた時に休憩してもらって帳尻を合わせるお店がほとんどですが、「休憩時間にゆっくり休めない」「休憩が不規則なのがつらい」などの理由で離職する人も多いです。
人手不足の原因④休日がとれない
休日がとれないことも、飲食店の人手不足の大きな原因です。
当然のことですがお店は従業員がいないと回らないので、人手不足の店舗だと休みが取れないこともあります。
「休みが取れないため従業員が離職し、さらに人手不足になってますます休みが取れなくなる」という悪循環を起こさないためにも、早急に対策が必要です。
人手不足の原因⑤人間関係のトラブル
飲食店の人手不足の原因として、人間関係のトラブルもよく挙げられます。
2024年に株式会社itkが飲食業界を対象に行ったアンケートでは、「ストレスに感じる原因は?」という質問に対して最も多かった答えが「人間関係」でした。
飲食店の業務はチームワークやコミュニケーションが特に必要となってくるので、人間関係のトラブルが起こりやすいのも、要因の1つと言えるでしょう。
参考:「【2024年実施】飲食業界で働く人々が感じるストレス要因とは?」PR TIMES
人手不足の原因⑥クレーム対応がつらい
「クレーム対応がつらい」のも飲食店の人手不足の原因です。
飲食店はサービス業のためクレーム対応をしなくてはならない場面もあり、特に店が忙しい時はミスが起こりやすくクレームも出やすいと言われています。
中には度を超えた謝罪を求めてくる人や言いがかりに近い悪質なクレームをする人もおり、従業員が精神的に追い詰められてしまい、離職するケースもあります。
カスタマー・ハラスメント条例
近年、悪質なクレームや従業員に対するハラスメント行為は大きな問題となっています。2025年4月には、従業員に対する迷惑行為を禁止する「カスタマー・ハラスメント条例」が東京都・北海道・群馬県で施行されました。
まだ三都道府県でしか施行されていませんが、今後は全国的な導入も期待されています。
人手不足の原因⑦採用にコストを回せない
社員やアルバイトを採用するためには、求人サイトや求人雑誌で募集をかけるのが一般的ですが、多くの媒体で広告掲載費がかかります。
無料で利用できる媒体もありますが、有料媒体と比べて制約が多い・露出が少ないなどのデメリットがあり、満足な効果は期待できません。
収益が低い飲食店では広告掲載費が捻出できず、採用活動が満足にできないため人手不足になるケースも多いです。
人手不足の原因⑧採用のミスマッチ
採用のミスマッチも、飲食店の人手不足の原因の1つです。
従業員を採用しても、「思っていた働き方ができなかった」「雰囲気が合わなかった」などのミスマッチで離職してしまうケースもあります。
また、求人の応募者を増やすために採用基準を下げた結果、求める人材とは離れた求職者ばかりが応募してくるというケースも少なくありません。
飲食店の人手不足を解消する解決策6つ
飲食店の人手不足を解消するには、従業員が働きやすい環境を整えて離職率を減らすことが大切です。
ここからは飲食店の「人手不足によって店が回らない」問題を解消するための解決策を6つご紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
①オペレーションの改善
オペレーションの改善は、主に「業務が多い」「休憩時間が不規則」「クレーム対応がつらい」「休日がとれない」などの問題を解消するのに有効です。
キッチンやホールごとに「○○のときは○○をする」「クレームが来たら○○をする」といったマニュアルを整備することで、無駄な作業を減らし、状況に適した働きをすることができます。
またマニュアル作成と合わせてITツールを導入することでより業務を効率化できるので、忙しすぎて休憩時間や休日が取れなくなるなどの事態も防ぎやすくなるでしょう。
②研修制度を充実させる
「業務が多い」「クレーム対応がつらい」などの問題は「研修制度を充実させる」対策も有効です。
「オペレーションの改善」では「マニュアルの作成」が大切だと述べましたが、マニュアルを上手く活用するためには研修による従業員の知識・スキル向上が欠かせません。
従業員一人ひとりの知識・スキルが向上することで、業務も楽にこなせるようになり、クレームにも動じることなく適切な対応ができるようになります。
③雇用条件の見直し・改善をする
飲食店の人手不足の原因である「給料が低い」問題を解消するのであれば、改めて雇用条件を見直して、給料や待遇などを改善する必要があります。
お店の収益が低く給料を上げるのが難しい場合は、まかないの提供や福利厚生の充実など、待遇面を見直して従業員のモチベーションを上げることが大切になってきます。
④従業員に匿名のアンケートを取る
従業員に匿名のアンケートを実施して、不満や改善してほしいところをヒアリングすることも解決策として挙げられます。
人手不足の大きな原因でもある「人間関係のトラブル」は、「当事者間でしか分からないことも多い」「本人に直接言いにくい」などの理由から、フォローするのが難しいです。
匿名のアンケートなら従業員も意見を伝えやすいので、気づきにくい人間関係のトラブルを把握することができ、フォローすることができます。
⑤補助金・助成金を活用する
飲食店に適用される補助金や助成金で、「給料が低い」「採用にコストを回せない」問題を解消することができます。
ただし、それぞれ条件や内容が異なるので、どの補助金・助成金を申請するべきか事前に調べておくことがおすすめです。
飲食店が申請できる補助金・助成金の一部を下にまとめました。
- 小規模事業者持続化補助金:上限金額は約50~250万円
- 業務改善助成金:上限金額は約30~600万円
- 事業再生構築補助金:上限金額は約1.5億円
- IT導入補助金:上限金額は450万円
- ものづくり補助金:上限金額は約1億円
⑥SNSを活用して採用活動をする
「採用にコストを回せない」「採用のミスマッチ」などの問題を解消するなら、SNSを活用するのも有効です。
XやInstagram、TikTokなど無料のSNSツールを使った採用活動は、実際に多くの企業が行っており、上手く活用すれば大きな効果が期待できます。
また、従業員の一日などの動画で発信することで、就職後のイメージが想像しやすくなるので、「採用後のミスマッチ」を防ぐことも可能です。
AIツールの導入で人手不足を解消
AIツールの導入は、人手不足の解消だけでなく、データ分析を活用したマーケティングにより、売上向上も期待できます。
ここからは、おすすめのAIツールの種類や、AIツールを導入したことにより具体的にどのような効果があるのかをご紹介していきます。
予約管理システム
予約管理システムを導入して予約の受付・管理をWeb上で行うことで、予約の電話対応やメールの返信作業がなくなり、他の業務に集中することができます。
その他にも、予約やキャンセルの連絡を自動音声で対応する自動電話対応ツールを使うのもおすすめです。
記入ミスや伝達ミスといった人的エラーを防ぎ、クレーム防止にもつながります。
モバイルオーダー
モバイルオーダーの導入により、ホールスタッフの作業量を大きく減らすことができます。
また、お客様が自分で注文する仕組みのため、従業員の注文ミスがなくなり、クレーム防止につながるのも大きなメリットです。
また、注文されたメニューはシステム上で自動的に記録されるので、マーケティングのためのデータ分析にも活用することができます。
POSレジ
POSレジは、従来のレジにキャッシュレス決済をはじめ、在庫管理や顧客情報管理、売上分析など様々な機能を搭載したレジです。
在庫情報と連動させることで、リアルタイムで在庫を管理することができ、商品の品切れ等を防ぐことができます。
また、顧客情報管理やデータ分析を活用して、混雑する日や時間帯を事前に予想することも可能です。
POSレジの導入により、来店客の急増にも対応しやすくなり、人手不足による混乱を防ぐことができます。
店が回らない!飲食店の人手不足を解消する対策|まとめ
飲食店の「人手不足によって店が回らない問題」の原因から解消するための対策をご紹介してきました。
人手不足を解消するためには、従業員が働きやすい環境を整えて離職率を減らすことが大切になります。
人手不足対策にはオペレーションの改善や研修制度の充実など様々な対策がありますが、特におすすめなのがAIツールの導入です。
予約管理や注文、会計業務にAIツールを導入することで従業員の負担を減らし業務を効率化できるだけでなく、データ分析などマーケティングにも活用できます。
本記事が「人手不足によって店が回らない問題」にお悩みの方の一助となれば幸いです。